[
消費税の改正 95%ルールの適用制限 ]

  

23年度税制改正ですが、消費税について少しややこしい改正があります。

実務運営上は税率アップよりも「手間がかかる」という意味では、はるかに影響が大きな改正です。

消費税の計算において、一般的に95%ルール」といわれているものがあります

    

売上のうち、消費税の課税売上の占める課税売上割合が95%以上なら、仕入時に支払った消費税は消費税の計算上、全額控除できるというものです。

平成2441日以後に開始する課税期間から、課税売上高が5億円を超える事業者ついては、この95%ルールの適用を受けられなくなり、仕入税額控除について、次のいずれかの方式により計算することになりますので、ご注意ください。

       1.   個別対応方式 (ひとつひとつの取引ごとに下記のように分類をします)

A「課税売上のみに対応するもの」

B「非課税売上のみに対応するもの」

C「課税売上と非課税売上に共通に対応するもの」に区分し、

(A+(C×課税売上割合))で求めた金額を仕入税額控除とする。

2.   一括比例配分方式 課税仕入等の税額を、個々の仕入ごと区分せず、一括して課税売上割合を掛けた金額を仕入税額控除とする。

(一括比例配分方式を選択した場合には、2年間継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変更することはできません)




消費税の計算 具体例

 課税売上が21,000円(税込)、非課税売上が5,000

( 課税売上割合 =  20,000円(税抜)/(20,000円+5,000円)=  80% )

A経費4,200円      B経費210円              C経費840円 (すべて税込)

(課税売のみに対応) (非課税売のみに対応)      (課税売と非課税売に共通に対応)

<改正前> 

課税売上に係る消費税       21,000円×5/105= 1,000

課税仕入に係る消費税 (A+B+C)  5,250円×5/105 = 250

納付する消費税                     1,000    250円 = 750

<改正後>

1.個別対応方式

課税売上に係る消費税        21,000円×5/105= 1,000

課税仕入に係る消費税(A)       4,200円×5/105 = 200

課税仕入に係る消費税(B)  非課税売上のみに対応するもの為、控除はなし

課税仕入に係る消費税(C             840円×5/105×80% = 32

納付する消費税              1,000円 - 200円 - 32円 = 768

2. 一括比例配分方式

    課税売上に係る消費税          21,000円×5/105 = 1,000

課税仕入に係る消費税(A+B+C 5,250円×5/105×80% = 200

納付する消費税                    1,000円 - 200円 = 800

消費税の計算方式には、これらを比較し、有利な方を選択します。



Q.
非課税売上になるものは? 

A.代表的なのは次のようなものです。

   土地の譲渡、貸付 ・   有価証券の譲渡 ・    住宅としての貸付 ・   受取利息

一般に受取利息のみの場合が多く、今回の改正において課税売上高が5億円を超える事業者だと影響金額が大きくなる可能性が高いと考えられます。また、実務上の負担も増えます